Tシャツをつくる

糸1本から、丁寧に編み上げていく45RのTシャツたち。
愛知県の自社工場「龍音」では、
編み立てから裁断、縫製を行い、
独自の個性をもつスペシャリストの職人たちによって、
メイド・イン・ジャパンを誇るものづくりが
貫かれています。

1企画を立てる
企画素材部 菅原徳央

2工場のしごと
龍音 山下聡志

3龍音でのものづくり
 

1企画を立てる /企画素材部 菅原徳央
糸の染めからはじまる、45RのTシャツづくり

オリジナルのインディゴカラーのTシャツ。
着て洗ってを繰り返し、インディゴ製品ならではのアタリがでている
―45RのTシャツをひと言で説明するなら、どんな言葉が当てはまるでしょうか
菅原:「根っこ」と言えるものです。デニム、バンダナ、そしてTシャツは創業当初から続く45RのDNAのようなもので、この根っこがないと他の枝葉がつかないです。Tシャツというのは老若男女に愛される万能なものですが、シンプルなかたちだからこそ、色々な可能性が引き出せる。オリジナルの素材や、素材、型などで多様なバリエーションを提案し、一枚ずつ愛情をかけてつくっています。

オリジナルのインディゴカラーのTシャツ。着て洗ってを繰り返し、インディゴ製品ならではのアタリがでている

染めの方法や、色の出方を検証していく




―素材へのこだわりについて教えていただけますか。
菅原:45RのTシャツは、コットンの種類や糸の細さ、生地の風合いを変えながら、よりたくさんの場面で着ていただけるようにつくっています。スタンダードとされるのは、ジンバブエコットンの糸で編んだ、でこぼこした素材感が出るTシャツ。
このTシャツの特徴をぼくは「もぎたてTシャツ」と呼んでいます。Tシャツがお客さまの手に届いてから、洗濯されて、太陽の光を浴びたとき、もぎたての野菜のような最もいい状態の質感が現れるようにつくっているからです。
さらに、よりエレガントに着ていただけるTシャツとして、光沢があり、しなやかで柔らかなスビンコットンや、ドライタッチのシャンクリーンというコットンを使ったものなども登場しました。どこにいくコーディネイトにも選んでいただけるように素材にも幅を持たせています。

染めの方法や、色の出方を検証していく

製品の裏側、見えない部分にこそ、独自のこだわりが垣間見える




―素材から製品化まですべて自社工場で行う利点はどこにあるのでしょうか。
菅原:「メイド・イン・ジャパン」という言葉はいまやどこでも使われますが、日本人しかできないきめ細やかさを貫けるのは、45Rの自社工場ならではの強みだと思います。
たとえば、45Rの哲学のひとつに「裏こそ表」という言葉があります。45RのTシャツを裏返してよく見てみると、場所によって縫製につかう糸の太さが異なっています。この小さな工夫を積み重ねることで、着心地がより良くなり、かわいい風合いに仕上がるのです
実は襟ぐりの部分だけ、身頃より少し薄い生地に変えて縫っているのですが、これに気が付く人は数年かかって1人か2人かもしれません(笑)。こうしたきめ細かいものづくりに応えてくれるのも、職人さんたち一人ひとりの顔を知って、常に密なコミュニケーションを欠かさないからだと思います。

製品の裏側、見えない部分にこそ、独自のこだわりが垣間見える
―インディゴのTシャツなど、染めの技術にもこだわりを感じます。
菅原:糸から染め上げていくので、素材によってさまざまな表情が出てきます。特にインディゴは日本古来の「藍四十八色」をイメージソースとして新色を毎年開発していますが、これだけ多彩な色を生み出す技術は、そうそう他にはないと思います。
染めにこだわるのは、だんだんと色が落ちていった時に「その人のTシャツ」になっていく姿を大事にしたいから。見えない部分にも心をこめていく文化こそが、私たちのものづくりの誇りなんだと思っています。



たくさんのヴィンテージTシャツを研究し、
より45Rらしい表情を生み出す

1シーズンのTシャツをつくるのにも、膨大な資料を集める

洗ったあとの生地が最もいい状態になるように

たくさんのヴィンテージTシャツを研究し、より45Rらしい表情を生み出す

1シーズンのTシャツをつくるのにも、膨大な資料を集める

洗ったあとの生地が最もいい状態になるように
2工場のしごと /龍音 山下聡志
糸の編み立てから裁断まで、職人たちの技術が光る自社工場「龍音」




工場の編み機を巧みに操る「編みじい」浅野博忠さん
―自社工場「龍音」の一番の強みはなんだと思いますか。
山下 全員がスペシャリストであること、ですね。工場長である浅野博忠、通称「編みじい」は、45Rの素材の「編み」をつかさどるベテラン中のベテラン。10数年前にできた自社工場「龍音」の前身時代からものづくりの現場を仕切ってくれています。
数十年にわたるキャリアを持つ彼の徹底した審美眼が、常に深化していく45Rのものづくりを支えていると言っても過言ではありません。たとえば、本社の企画部から難題が来たときでも、「もっとこうすれば良くなる」と新たなアイデアをどんどん繰り出し、長年の経験をもつ職人ならではの知見を活かしたものづくりを提案してくれるんです。

工場の編み機を巧みに操る「編みじい」浅野博忠さん
―編み、縫製など担当を分けて、それぞれの得意分野に注力しやすい組織になっているのですね。
山下 そのとおりですね。いまでは編みじいの後継者も育ってきていますし、縫製や裁断の担当者も皆、自分の分野に誇りを持ち、情熱をもって取り組んでくれています。どんな質問をしても必ず各担当者なりの想いのこもった答えがたくさん返ってきますよ。
「この人だからできる」という個性と職人魂が結集した研究所のような場所だからこそ、常に新たなものが生み出し続けられるのだと思います。



毎朝9時に始まる朝礼、複雑に分かれた
1日の作業行程を確認していく

横編み機では、糸の角度を計算して最適な位置に調整

複雑なかたちや柄のある生地など、
少数ロットのものはすべて人の手で裁断する

毎朝9時に始まる朝礼、複雑に分かれた1日の作業行程を確認していく

横編み機では、糸の角度を計算して最適な位置に調整

複雑なかたちや柄のある生地など、少数ロットのものはすべて人の手で裁断する
―45Rならではのものづくりの特徴があれば教えてください。
山下 大げさなこと、特別なことはしていないんです。たとえば、使用する編み機に合うように糸屋さんから届いた糸を決まったコーンに巻き直す。その際に糸につけるワックスは、季節を問わずやわらかく、上質なものを使う。それからニット地をわざわざ裁断、縫製する...。細かいことは挙げ始めればキリがありません。
古くから大事にされてきた技法に、これまでの経験で培った、ちょっとしたこだわりや気づき、工夫を積み重ね、深化しつづけること。それが45Rの「ないものづくり」の特徴につながると思っています。
3龍音でのものづくり
徹底してディテールにこだわり、45Rのものづくりの根っこを支える工場の強み

どこかふんわりと、空気をたくさん含んで編まれたやわらかな編み地
こだわり その1
龍音では、カット仕立て(裁断、縫製)とニット仕立て(リンキング)を組み合わせたニットソーを作っています。通常のニットは成型編みで効率よく、無駄なく作られますが、45Rではそうはしません。昔ながらのスコットランドのセーター作りをお手本に、セーターとカットソーの間のような製品を作ります。それが、45Rらしい、どこか茶目っ気のあるものづくりです。

どこかふんわりと、空気をたくさん含んで編まれたやわらかな編み地

糸の角度の微妙な調整に、熟練「編みじい」の技が光る
こだわり その2
編み機にデータをただ送るだけではなく、糸の角度や配置も細かく調整します。時には編みじいの経験と勘で機械に手をいれ編み地を調整することもあります。機械でつくるものに人の手を加えることで、編み地が「笑う」ようにふっくら生き生きと仕上がります。たとえば違う工場で、同じ機械、同じ速度、同じ糸で編んだとしても、龍音の編み地と同じ表情には決してなりません。

糸の角度の微妙な調整に、熟練「編みじい」の技が光る

どんな製品のなかにも一ヶ所は、必ず想いを込めた手作業が入る
こだわり その3
編みだけでなく、もちろん縫製にもこだわりが。スパン糸などは使わず、セーターに使ったものと同じ糸で縫製をします。そうすると、製品全体に「馴染み」が生まれます。ふっくらとした編み地を、よく馴染むように縫製する。それは服によい「間」があるともいえます。服にムリがない状態は、実際に着てみた時の心地よさにも通じます。
45Rのものづくりは、「当たり前であること」を、真面目にやり続けること。これが、「気持ちのよい服を世界中の人たちに喜んで着ていただく」という理念につながっていくのです。

どんな製品のなかにも一ヶ所は、必ず想いを込めた手作業が入る